2012年5月4日金曜日

「見捨て劇」を演じたアメリカ、それにのった中国、どちらが正解?

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● TBSニュース 2012/05/04



ロイター 2012年 05月 3日 06:42 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT812833820120502

陳光誠氏の処遇問題は一応の決着、
米は関与継続を表明・中国は米対応を批判

 [北京 2日 ロイター] 北京の米国大使館の保護下にあった中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏は2日、数日間にわたる米中両政府による交渉の末、米大使館を後にした。

 米当局者が明らかにしたところによると、陳氏が大使館を去る条件として、中国政府は同氏が家族と共に国内の別の場所に移住することや大学教育を受けることを認めるとの確約を行った。
 だが中国政府が陳氏にどの程度の裁量を認めるかは依然として不透明。

 両政府とも陳氏は自主的に米大使館を離れたとしている。
 米高官によると、同氏は亡命を要請したことは一度もなかった。

 陳氏は4月22日、自宅軟禁から脱出し、北京の米大使館に保護を求めていた。

 中国外務省は、事件をめぐる米国の対応を内政干渉として激しく非難するとともに、米外交官の対処の仕方をめぐり謝罪するよう求めた。

 外務省報道官は声明で
 「米国の措置は中国の内政問題への介入であり、まったく受け入れられないことである。
 中国は米国に対し、この件の徹底的な調査と関係者の処分、再発防止の確約とともに謝罪を要求する」
と表明した。

 一方、米中戦略・経済対話に出席するため北京入りしたクリントン米国務長官は
 「陳光誠氏の選択とわれわれの価値観を反映したやり方で、同氏がとどまり、米国大使館を去ることができたことに満足している」
と述べた。

 その上で
 「安全な環境下で高等教育を受ける機会など、(陳氏は)中国政府と将来をめぐり数多くの点で合意した。
 これらの確約を実現することが次の重大な任務だ。
 米政府および米国民は今後数年にわたり、陳氏とその家族に引き続き関与する」
と述べた。 

 陳氏の処遇問題は一応の決着がついた格好だが、同氏の支持者は、家族への報復の危険があったため、陳氏は合意に応じるしかなかったと主張している。

 米テキサスの宗教・人権団体、チャイナエイドを率いるボブ・フー氏は、中国政府の提案を断った場合、
 「中国政府から陳氏の肉親に深刻な脅威が及ぶ」
ため、同氏は大使館を離れるしかなかったと述べた。

 中国の著名な人権活動家、胡佳氏によると、陳氏の妻も中国政府からの脅迫について言及していた。

 チャイナエイドのフー氏は、陳氏の米大使館退去は自発的ではなく、
 「関連の報道では、
 残念ながら、米国側が陳氏を見捨てた
ことが示されている」
とし、深い懸念を表明した。 

 米国務省は、中国当局者が交渉の中で陳氏の家族を脅迫した、もしくは米外交官が中国側の脅迫を陳氏に伝えたとの報道について否定している。 

 米政府はこれまで、中国政府による陳氏の扱いを注視するとの見解を示しており、中国政府が同氏の活動を阻害するようなことがあれば、新たな火種となる可能性も残る。

 また今回の問題の背景には、3日に開幕する米中戦略・経済対話に加え、米大統領選や中国指導部の交代など、米中両国の政局が今年、重大な局面を迎えるため、両政府とも国内政治に与える影響を考慮せざるを得ない状況にあったとの事情もある。

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 アメリカが見捨てたということのようである。
 その真意はどこにある。
 おそらくほとぼりの静まった1~3ケ月後に
 アメリカは中国からなんらかの見返りを受け取る
ことになるだろう。
 じっくり見ていけばそれがなんであるかわかると思う。

 この活動家はそのうち時とともに闇に葬り去られてしまうだろう。
 数年後には生存していないだろう。
 中国だってさほど甘くはない。
 爆弾は不発となり、解体されてしまうだろう。
 


サーチナニュース  2012/05/03(木) 05:02
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0503&f=politics_0503_003.shtml

中国の盲目の人権活動家、「米大使館を出たのは中国当局の脅迫」

  中国の盲目の人権活動家で、2日に保護されていた北京の米大使館から「自発的に出た」とされた陳光誠氏について、実際には
 「家族のことで中国当局から脅迫されたためやむを得ず従った」
との情報が出ている。
 陳氏と親交のある中国の人権活動家や弁護士が同日夜、自身のツイッターで明らかにした。

  陳氏の妻と子どもは2日午前、自宅のある山東省から当局者に連れられて北京にやって来た。
 人権活動家の胡佳氏の妻、曽金燕さんは同日午後から陳氏夫妻それぞれと電話で話をしたといい、その内容をツイッター上で明かした。

  「(陳)光誠は大使館から離れることを望んでいなかったが、他に選択肢はなかった。
 もし大使館から出るのを拒否すれば、妻と子どもがただちに家に送り返されるからだ」
 「(山東省の)地元当局は彼らの家にカメラを据え付けた。
 彼らの家に入って、棒を持って待ちかまえている」

  北京の弁護士の騰彪氏も2日夜に陳氏と電話で話をし、陳氏が外交部(外務省)当局者から
 「米大使館を出なければ妻と子どもを山東に送り返す」
と脅されたことを認めたとツイッター上で明かした。
 陳氏への電話はその後繋がらなくなったという。

  陳氏夫妻のいる北京市内の病院は厳重な警備がしかれており、曽さんや弁護士は面会できなかった。
 また曽さんの家の周囲にも私服警官が増え、監視が厳しくなっているという。




サーチナニュース  2012/05/03(木) 05:26
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0503&f=politics_0503_004.shtml
太字
「米に見捨てられた」、陳氏、早期出国を希望

 【ワシントン共同】米CNNテレビは2日、中国の盲目の人権活動家で、保護されていた北京の米大使館から市内の病院に同日移った陳光誠氏と電話インタビューし、陳氏が
 「中国に残れば命はない」
と訴え、できるだけ早期に出国したいと語ったと報じた。
 陳氏は、軟禁されていた自宅を脱出後に妻が中国当局に拘束されたと指摘。米中両政府間の決着について
 「中国を信用していない。米国に見捨てられた」
と強い不満を表明した。

(情報提供:共同通信社)



テレビ朝日





レコードチャイナ 配信日時:2012年5月3日 19時35分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=60989&type=0

陳光誠氏を中国政府が脅迫、「米大使館を出なければ妻が危険な目に」

 2012年5月2日、中国の「盲目の人権活動家」陳光誠(チェン・グアンチョン)氏が北京の米国大使館を離れた問題で、
 ドイツの放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版ウェブサイトは、陳氏が中国政府から脅迫されたため、やむなく離れただけだと報じた。

 陳氏は山東省臨[シ斤]市内の自宅に軟禁されていたが先月22日、脱出に成功。
 27日に北京の米国大使館に保護を求めたが今月2日、同大使館を離れた。
 その間、中国メディアはこの件を一切報じなかったが同日、国営新華社通信が
 「山東省[シ斤]南県の陳光誠が4月下旬に米国大使館に入ったが、6日間の滞在後、自発的に離れた」
と報道。
 ロイター通信によると、陳氏はゲイリー・ロック(駱家輝)米駐中国大使に付き添われ、北京市内の病院に移動した。

 新華社の報道を受け、陳氏と電話で話したという北京の人権活動家、滕彪(トン・ビャオ)氏は
 「陳氏は妻の袁偉静(ユエン・ウェイジン)氏と北京で再会した。
 陳氏の母親も含め、家族全員が北京で誘拐されたことがある。
 北京警察と山東警察がグルになって。
 今回は誘拐される心配がない状況で会えたようだ。こんなことは初めてだ」
とネット上で明かした。

 また、著名な人権派弁護士、曾金燕(ゾン・ジンイエン)氏は簡易ブログ・ツイッターで
 「陳氏の妻によると、山東省政府が派遣した者たちがこん棒を持って彼らの自宅で待機している。
 陳氏が米大使館を離れなければ、彼女を山東省に連れ戻すと中国政府に脅されたそうだ」
と陳氏が大使館を離れたのは本意ではなかったことを示唆した。

 滕氏もツイッターで、
 「米国政府が中国政府の『陳氏の安全は絶対に保障する』との約束を信じ、陳氏を大使館から出してしまったら、悲惨な結果になることは目に見えている」
と懸念を示している。
 陳氏の友人の人権派弁護士、江天勇(ジアン・ティエンヨン)氏も、
 「中国に残っても自由はない。
 一家が米国に移住することを願っている。
 子どもさんは心に大きな傷を負っているに違いない。
 中国政府を信じてはいけない」
と訴えている。

 陳氏の事件について、中国外交部の劉為民(リウ・ウェイミン)報道官は
 「米国大使館が正常ではないやり方で陳光誠を入れたことに対し、抗議するとともに謝罪を要求する」
と強硬な姿勢を示している。

 江氏はこれに対し、
 「中国政府はいまだに自らの『維穏(安定維持)』政策を反省していない。
 外交部の主張は荒唐無稽。
 中国政府は対外的には陳氏は自由な公民だと言っている。
 自由な公民が米大使館に行き、大使館も彼を受け入れた。
 これのどこが『正常ではないやり方』なのか」
と怒りをあらわにしている。





TBSニュース 04日04:43
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5020661.html

駐中国米大使「行動、間違いなかった」

 アメリカ国内で国務省の対応を疑問視する声が高まる中、アメリカのロック駐中国大使が3日インタビューに応じ、自分たちが取った行動は間違いではなかったと話しました。

 「我々は“ミッション・インポッシブル”を決行し、陳氏を大使館まで連れてきて、そのうえで必要な医療的措置を施しました」(アメリカ ロック駐中国大使)

  ロック大使は先月26日に陳氏が北京に到着したとの連絡を受けた際の行動を映画のタイトルにひっかけ「ミッション・インポッシブル(考えられない作戦)」と表現し、極秘で大使館に連れてきたと明らかにしました。
 その上で、陳氏が大使館にいた際はアメリカへの亡命を求めていなかったと強調、陳氏の意向を受けて中国政府側と「生活費や学費の提供」などで合意し、本人の意思で大使館を離れたと釈明しました。
 今回の混乱の背景について陳氏が心変わりしたと指摘。
 今後の陳氏の真意を探るため、面談を続けると話しました。

 「陳氏の処遇の対応にあたる一方、中国と幅広い関係を作っていきます」(アメリカ国務省 カーニー報道官)

 また、カーニー報道官も今回の陳氏の処遇についてオバマ大統領にも報告されていると述べたうえで、中国側に対しては米中関係全般に悪影響を与えないよう釘をさしました。


 さて、苦しい釈明だが、この見返りにアメリカは何を得たのか。


 だが、これで幕はおりなかった。


ウオールストリートジャーナル 2012年 5月 4日 14:14 JST
http://jp.wsj.com/World/China/node_437454

盲目の中国活動家、一転して出国希望 米議会公聴会に「電話出席」

 中国に留まることで決着したはずの盲目の同国人権活動家、陳光誠氏(40)が3日、一転して米国渡航を米議会に電話で求めた。
 これを受けて、同氏は自発的に中国にとどまることを受諾したと説明していた米政府当局に対して、外交的、政治的な失態との批判が噴出している。
 米政府当局は、同氏処遇をめぐり中国当局との再度の話し合いを余儀なくされようとしている。

 山東省の自宅軟禁から脱出したあと、北京の米国大使館に保護を求め、そして北京の病院に入院した陳氏の過去1週間のドラマをめぐり、米中関係者が交渉を重ねた劇的な日となった3日は、異例の状況のなかで幕を下ろした。
 北京の病院に入院中の陳氏が、米国のキリスト教系活動家が手にする携帯電話を通じて、ワシントンで開催された米議会の公聴会で米国への自由な渡航を求めたのだ。

 陳氏は北京の病院から、米議会の公聴会に電話を入れ、米国渡航を希望したほか、北京に滞在中のクリントン米国務長官との面会を求めた。
 同長官は米中戦略・経済対話に出席のため4日まで北京に滞在する。
 陳氏は
 「わたしは彼女(クリントン氏)からもっと助けを得たい」
と述べた。
 議員や、記者、そして人権活動家で満員となった米議会のブリーフィングルームでは、陳氏の発言は英語に通訳された。

 陳氏は
 「わたしは休息のため米国に行きたい」
と述べ、
 「現段階で母や兄弟の安全を最も心配している。
 彼らがどうなっているのか知りたい」
と語った。

 中国当局の監視下にある人権活動家が米議会に直接訴えるという異例の光景は、過去10年間で最も深刻な米中関係の一面を浮き彫りにした。

 陳氏の予想外の電話発言は、現在の同氏自身の希望に対する残された疑問を払拭したようにみえる。
 そして、それは同氏の一件が
 オバマ大統領と同政権にとって、政治的に厄介な難題に急速に変貌しようとしていることを如実に示す

ものだ。
 大統領候補指名が確実となったミット・ロムニー氏を含め、共和党は陳氏とその家族の安全確保のための措置を講じるようホワイトハウスに求めた。
 批判家たちは、3、4両日の米中戦略・経済対話会合を控えて、
 オバマ政権が北京との関係を確固たるものにするため、陳氏の処遇に関する取引を急ぎ過ぎた
のではないかと疑っている。

 3日の出来事はまた、陳氏を中国内で移動させることで中国側と合意した米国務省高官の取引に対する疑問も提起した。
 米国大使館を出てわずか数時間後、陳氏自身による米公聴会への訴えにより、崩れたからだ。

 米政府当局者はこの日一貫して、陳氏は「心変わり」したと主張。
 外交当局者たちは、同氏が本当に何を望んでいるのかを確認しようと、北京の病院にいる陳氏とその妻との接触に懸命になった。

 しかし米当局者たちは、はるかに難しい交渉環境に直面しており、中国側の我慢も限界に達する公算が大きい。

 米当局者によれば、陳氏は、2日に北京の米国大使館から立ち去る瞬間まで、自分は中国にとどまると主張していた。
 人権活動家や米当局者などによれば、同氏が心変わりしたのは、3日に北京の病院に到着したあとだったという。
 消息筋によると、陳氏が安全上の深刻さを理解したのは同氏が妻と面会した際だった。
 そこで同氏は心変わりし、家族全員の出国を希望したという。

 陳氏は3日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、4月22日に同氏が山東省の自宅軟禁から脱出したあと、家族が受けた扱いに言及し、
 「わたしが米大使館に滞在している間、自宅では恐ろしい状況だった。
 地元当局の係員が自宅に入り、わたしの部屋に入った。
 彼らはわたしの家族がドアを閉めるのも許さなかった」
と語った。

 同氏は
 「中国にいたのでは家族が安全ではないと思う」
と述べた。
 別のインタビューで同氏は、身体的には大丈夫だが「精神的に疲れている」と語った。

 消息筋によると、キャンベル国務次官補は3日、中国当局者と交渉を行った。
 中国外務省スポークスマンはコメントを避けた。

 米当局者はまた、陳氏とその妻、袁偉静さんと再び話し合いに入った。
 しかし、同当局者が陳氏夫妻にどの程度の接触ができているのかは不明だ。
 米当局者によれば、家族とともに北京の朝陽病院にいる陳氏と電話で話せるだけだという。
 陳氏が3日明らかにしたところでは、米当局者は同氏に対し、病院に入ることを認められていないと述べたという。

 米国務省のヌーランド報道官は3日、
 「われわれは彼らとさらに話し合い、彼らが何をしたいのか理解を深め、選択肢をともに検討する必要がある」
と語った。

 3日の議会公聴会は、中国の人権問題を監視するため設置された議会と行政の合同委員会によって組織された。

 国務省とホワイトハウスの当局者は、陳氏が米当局者を通じて中国政府から脅迫を受けたために米大使館を離れたとする人権活動家たちの主張について、事実ではないと繰り返し否定した。
 ただしオバマ政権当局者は、陳氏がそのままずっと大使館にとどまれば、北京入りした妻と子供は山東省に戻されるだろうと同氏に伝えていたことは認めた。

 陳氏はインタビューで、先月26日以来滞在していた米国大使館に再び戻る可能性を排除しなかった。
 ただ同氏は
 「米国大使館は、わたしが病院を出たあと、再び大使館に戻れるかどうか決して言及しなかった」
と述べた。

 中国当局が米国大使館に戻ることを認めるかどうかは不明だ。
 中国メディアは陳氏の去就についてほどんど報道していないが、国営新華社通信は2日、陳氏に関する記事を報じ、中国外務省が米国の干渉を批判していると伝えた。

 一方、過去1週間にわたる激しい交渉で当初の合意に達した後、米国が行使できる影響力はあまり残されていないかもしれない。
 当局者によれば、陳氏を国外に移すのも難しい点があり、陳氏のほか、妻とその子供2人についても許可を得なければならないという。

 それでも、陳氏が自分の意思について米国の説明と食い違いが発覚した結果、同氏を取り巻く状況に関心が集まった。
 中国は国際的な非難なしに同氏の希望を阻止するのが難しくなったともいえる。

記者: Keith Johnson 、Josh Chin、Jay Solomon


 米中、うまくまとめようとしたが上手の手から水がこぼれたようだ。
 なにしろ中心人物は「盲目」、いわばハンデキャッパー。
 よほどのことがない限り、すべては回りの責任となる。
 中心人物に非を押し付けることが’できないのが、この状況。
 慎重に慎重に、事を運ぶべきであっただろうに。
 「心変わりをした」
と非難してもはじまるまい。
 心変わりをしても非難されないのが、今回の中心人物の有りよう。
 
だって、回りが見えないのだから。 
 なにしろ盲目なのだから、状況認識が一般人と違うのだ。
 言葉と雰囲気だけで、判断を求められているというハンデを持つ人物ということだ。
 車椅子で動いているようだが、ならば危険を感じれば、すぐに心変わりして当たり前。
 その心変わりをしないようにアメリカは配慮すべきではなかったのか。
 それをなさなかったのなら、アメリカは非難されて当然ということになる。
 今回はアメリカが先を焦ったようだ。

 ところで、アメリカはこの見返りに中国に何を要求したのか。
 それが急激に消えつつある。
 


南日本新聞 ( 5/6 付 )
http://www.373news.com/_column/syasetu.php?ym=201205&storyid=40298

[陳氏の渡米容認] 批判の拡大恐れた中国

 中国政府は、渡米を希望していた盲目の人権活動家、陳光誠氏について
 「留学を望むなら、中国国民として通常のルートで手続きをすればよい」
として、留学目的での出国を認める方針を示した。

 人権問題を重視する米国など国際社会の反中感情が高まることを懸念した中国は、早期に事態収拾を図ることで、国際社会での「人権弾圧国家」とのイメージが拡大することを避け、同時に国内での体制批判の火種を取り除く狙いなのだろう。

 問題解決が長引けば、北京で開かれた米中戦略・経済対話への影響も避けられなかった。
 陳氏の処遇については、米中でギリギリの駆け引きがあったもようだが、体面を重視する中国から譲歩を引き出せたことを歓迎したい。

 陳氏は、中国当局による不妊手術や中絶の強制を告発し、2006年に公安当局に拘束され、交通秩序かく乱罪などで懲役4年3月の判決を受けた。
 07年には「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞を受賞。
 10年に出所したが、当局による自宅軟禁が続いていた。

 自宅を抜け出し、北京の米大使館に保護されていた陳氏は、米中両当局の話し合いで、自身や家族の安全が確保されたとして大使館を出て市内の病院に移った。
 だが、再会した妻子から中国当局による激しい脅迫や暴行があったことを聞かされた陳氏は、母親や兄弟、支持者の安全を懸念して当初の国内在留の意向を翻した。

 実際に陳氏の病院移転後、陳氏の支持者らが相次いで当局に拘束されたり軟禁されたりしている。
 北朝鮮やイランの核開発問題で中国の協力を求めたい米国側が、決着を急ぐあまり陳氏や関係者の安全を十分に確保しないまま、大使館から出したことは、大失態だったといえるだろう。

 最終的に中国は陳氏の渡米を容認したが、仮に陳氏が国内にとどまった場合、人権活動家としてその動向に注目が集まるのは確実だった。
 最高指導部が交代する秋の共産党大会を前に、国際社会の批判が高まったり、陳氏を核とした反体制的な動きが広がったりすることを回避したいとの思いが、中国側にあったのは間違いない。

 陳氏は渡米後の帰国を希望しているが、当局が体制批判の火種である陳氏の帰国を認める可能性は低い。
 留学名目の出国は事実上の国外追放といってよい。

 一方で、陳氏の友人を含む国内の人権活動家らが厳しい監視下におかれることは確実だ。
 国際社会は今後も、中国の人権問題をじっくり監視していく必要がある。


 中国政府が負けた、ということは明らかだが、となるとアメリカは漁夫の利を得たということになるのだろうか。


JNNニュース




 これそうとうにきな臭い。

 アメリカが「見捨てた」ときの中国在アメリカ大使館の歯切れがひじょうに悪い。
 共和党ならありえるが、人権問題をメインテーマにかかげる民主党がこういう態度をとるということはアメリカに対する幻滅となる。
 だが、アメリカはそれをやった。
 なぜだ。
 相当な見返りがあったからだろう。
 
 通常ならここで2つのことが発生する。
①.アメリカへの人権政策に対する非難
②.中国への恐怖政治への非難
 だが、国際世論は中国ばかりを取り上げアメリカ政府の対応を批判していない。
 明らかにおかしい。
 中国はそのため、国際メデイアの集中砲火を食らってしまった。
 「こんなはずではなかったが」
といいたいところだろう。
 これ以上は支え切れないと判断してか、止む得ずに家族もろともでの留学追放という措置となってしまった。
 中国国内に残すことは火種をかかえることになり、ことがあるたびに中国政府がやりだまに上がることになる。
 とすると、アメリカは「見返り」だけを、そっくりそのま頂戴してしまったことになる。

 これは、偶然のなすことか。
 さほどにアメリカは愚鈍ではない。
 さまざまなケースをシュミレーションして、「見捨て」をやったはずである。
 民主党としては、党是として見捨てはできないはずである。
 いろいろ言を弄して引き止めるはずである。
 ところが、それをやった。
 おそらくそこに大きな取引があって、その成果をどうしても得たいというアメリカの思惑があり、その見返りの大きさにまけて「見捨て」をやったのだろう。
 だが、それだけでやめるほどアメリカはひ弱ではない。
 国際社会での百戦錬磨の外交を経ている。
 ケーススタデイーもはんぱなものではない。

 そしてこう読んだ。
 「まずは、見捨てる。こ太字れによって見返りを得る。
 国際非難が中国に向くように誘導する。
 というより、現在の国際情勢ではアメリカより中国の方がニュースバリューが高い。
 自然、メデイアは中国に向かう。
 内容は中国の警察恐怖政治になるだろう。
 連日、それによって中国政府は叩かれることになる。
 上層部交代を控えて、そのまま容認はできないだろう。
 結果として耐えられなくなって、国外追放することになる。
 中国の一方的な判断となり、アメリカはかかわらない。
 アメリカとしては手を汚さず、大事の果実をタナボタで得られる。
 つまり、見捨てをやったことで「二兎を得た」ことになる。


 「見捨て劇
を演じることで、アメリカは「見返り」と「正義の味方」という2つを丸々手にいれたことになる。
 そのくらいのことはやりかねないのがアメリカ。
 というより、その程度のことができないと外交とはいわない。
 「脅し」と「利益供与」の2つだけが外交手段
などと思っているようでは、お里が知れる。

 こんなところが案外の真相ではなかろうか。
 
 アメリカの外交則はこうだ。
 「I shall return」
 私は必ず戻ってくる。
 この戻ってくるまでの時間に耐えられる意志、努力がアメリカの強さだといえる。



NHKニュース 5月12日 12時13分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120512/k10015072811000.html

陳光誠氏のおいを逮捕 報復か



 アメリカにある人権団体は、アメリカへの出国を希望している中国の人権活動家、陳光誠氏のおいが殺人の疑いで逮捕されたことを明らかにし、陳氏への報復だとして、逮捕した山東省の地方政府を非難しました。

 アメリカにある人権団体「対華援助協会」は、陳光誠氏のおいが、9日、山東省の警察当局に殺人の疑いで逮捕されたことを示す当局の文書を、11日、写真で公開しました。
  この団体が、逮捕されたおいの弁護士から聞いた話によりますと、陳氏が軟禁されていた山東省にある自宅を脱出したあとの先月26日深夜、地元当局を名乗る 20人以上の集団が自宅にやって来た際、両親が殴打されているのに気づいた陳氏のおいは、護身用のナイフで当局者3人にけがを負わせたということです。
 この団体は、有罪になれば死刑になるおそれがあるとしたうえで、
 「おいの逮捕は陳氏に対する報復として行われたもので、正当な裁判は期待できない」
と山東省の地方政府を厳しく非難し、アメリカ政府や国際社会に対して、中国への働きかけを強めるよう訴えました。

 陳氏はNHKの電話取材に対し
 「山東省にいる母親からおいが拘束されたという話を聞いた。
 兄も脅迫を受けており、彼らの安全確保をメディアを通じて訴えたい」
と述べました。
 陳氏のおいの逮捕について、アメリカ国務省は、10日、中国政府に懸念を伝えたことを明らかにしていますが、中国政府はこれまでのところ公式なコメントは出していません。




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