2012年4月9日月曜日

北朝鮮:ミサイル外国メディアに公開、「将軍の歌」は聞こえてくるだろうか?

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● TBSニュースより



TBSニュース 2012/04/09 0150
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4998926.html

ミサイル設置完了、外国メディアに公開

 北朝鮮は、12日から16日に発射するとしている事実上の長距離弾道ミサイルを発射台に設置する作業を完了させ、外国メディアに初めて公開しました。

 北朝鮮は8日、北西部トンチャンリの発射施設で、「人工衛星」の打ち上げと称して発射するとしている長距離弾道ミサイルを公開しました。
 北朝鮮が打ち上げ施設を外国メディアに公開するのは初めてです。

 発射台には、「銀河3」の文字が書かれた全長30メートルの3段式のロケットが据え付けられています。
 また、管制センターや今回搭載される北朝鮮が実物と主張する人工衛星も公開されました。
 発射場の責任者は燃料注入の時期については明言しませんでしたが、
 「指示があれば、すぐに打ち上げられる」
と説明しました。

 北朝鮮は外国メディアへの公開を通じて、国際社会に「平和的な宇宙開発」の正当性をアピールする狙いがあるものとみられます。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/04/10 09:50
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/04/10/2012041000735.html



ミサイル:「銀河3号、ICBMに近いが搭載衛星はおもちゃ並み」
専門家がロケット分析

 北朝鮮は8日、現地入りしている外国人記者を平安北道鉄山郡東倉里の発射場に案内し、ロケット推進体「銀河3号」と人工衛星「光明星3号」を公開した。

 ロケットの専門家たちは
 「写真を見たとき、2009年4月に発射された銀河2号と同じテポドン2号ミサイル(最大射程距離6700キロ以上)の推進体に見えた。
 当時に比べ1・2・3段目のロケットのバランスが良くなり、外観も洗練された印象になるなど、少しだが改良された形になった」
と語った。

 北朝鮮が09年4月5日に
 「人工衛星『光明星2号』を宇宙で軌道に載せる」
として発射した銀河2号(テポドン2号)は、弾道ミサイル「ノドン」の推進体4基を束ねた1段目の推進体と、ノドンの改良型モデル「ノドンA」を使った2段目の推進体、固体ロケットの3段目推進体からなるものだった。

 韓国航空宇宙研究院の関係者は
 「09年と比べ全長はほぼ同じか少し短くなり、ロケットの直径は若干大きくなったように見えるが、テポドン2号だということはほぼ確実だ」
と話す。
 北朝鮮は当時の銀河2号の諸元を公表していないが、韓国の情報当局は全長32メートル、直径2.0-2.2メートルと推定している。
 北朝鮮は今回の銀河3号の全長を30メートル、直径を2.5メートルとしている。
 つまり、北朝鮮はテポドン2号を改良し、推進体の大きさが少し変わった可能性もあるということだ。

 政府関連機関のある専門家は
 「北朝鮮が『銀河3号ロケットの重量は92トン』と発表していることに注目すべき」
と語った。
 09年に発射された銀河2号の重量は推定79トンで、今回公開された銀河3号の方が10トン以上重い。
 この専門家は
 「09年当時、北朝鮮はテポドン2・3段目ロケットの分離には成功したが、小型衛星を宇宙で軌道に載せるのには失敗した。
 推力不足が主因だった可能性があるため、これを克服するためにより強力なエンジンを搭載し、より多くの液体燃料を入れる可能性がある」
としている。

 北朝鮮は09年、ノドンミサイルを4基束ねた1段目推進体同時点火と、2・3段目の分離に成功した。
 専門家は
 「こうした技術力があれば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に近づいていると言えるだろう」
と評している。

 また、北朝鮮は09年の発射時、高温・高圧ガスの排出方向を調整すると同時に、側面ガス噴射で軌道を修正したりバランスを保ったりする軌道修正・姿勢制御装置(DACS)を使用した。

 北朝鮮は銀河3号の2段目ロケット予想落下地点について、銀河2号の時(3846キロ)より1300キロ短い2500キロと発表している。
 これについて、韓国政府の消息筋は
 「北朝鮮は今回、射程距離を伸ばすことよりも、長距離ロケット発射の大義名分を得るため、衛星の宇宙軌道進入成功に技術力を集中させている可能性が高い」
と語った。

 この日公開された東倉里発射場の大型垂直発射台を見ても、北朝鮮の技術が進歩していることが分かる。
 高さは50メートルと、咸鏡北道花台郡舞水端里発射場の発射台に比べ1.5倍高いだけでなく、ロケットを垂直に組み立てたり、点検したりする時に便利な大型設置台もいくつかあった。
 銀河3号が載せられている移動式発射台も舞水端里発射場にはない施設だ。
 東倉里発射場のチャン・ミョンジン総責任者は同日、外国人記者たちに
 「将来的には400トンまで打ち上げ可能だ。
 そのために(東倉里の)発射台を大きくした」
と述べた。

■専門家が衛星分析

 「大学生の実験用衛星レベル。
 こうしたお粗末な衛星打ち上げるため3億ドル以上投入したとは…北朝鮮の『実用衛星』主張は偽り。
 長距離ミサイル転用可能ロケットの性能試験が目的」

 北朝鮮は、早ければ12日に発射するかもしれない「人工衛星『光明星3号』」を8日に現地入りしている外国人記者らに公開した。
 北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会は
 「光明星3号の重さは100キロ。撮影機器が設置されており、写真をはじめ、観測データを衛星管制総合指揮所に送ってくる」
と説明した。

 海外メディアに公開された光明星3号の写真を見た韓国航空宇宙研究院のチョ・グァンレ羅老号(韓露共同開発の人工衛星打ち上げロケット)発射推進団長は9日、
 「大学で学生たちが実験用に製作する衛星の典型と同じ。
 北朝鮮が主張する『実用衛星』とは言いがたい」
と述べた。

 韓国科学技術院(KAIST)人工衛星研究センターのカン・ギョンイン衛星研究室長も
 「詳細なスペック(諸元)が分からないと断定できないが、実用クラスとしてあるべき形になっているかというと、いろいろと不十分なのは事実」
と語った。
 衛星上段に設置されているカメラ(推定)はレンズの直径が小さく、解像度が高い写真を撮るには不適切で、太陽電池パネルも翼のように広がる展開型ではなく、衛星本体に一体型で付いている初歩的な形だという。

 航空宇宙専門家らは
 「北朝鮮が公開した諸元を見ただけでも、『光明星3号』が北朝鮮の主張とは異なり、初歩的な実験用衛星であることが分かる」
と語った。
 韓国が1999年に打ち上げた科学目的の実験衛星「ウリビョル(私たちの星、の意)3号」は重さ110キロで、寿命は5年だった。

 韓国航空宇宙研究院のチョ団長は
 「韓国の実用衛星『アリラン1号』は500キロ、2号は800キロ、まもなく打ち上げられる3号と5号は1トンを上回る。
 100キロでは実用衛星に必要な装備を1つも設置できないだろう」
と語った。
 現在運用されている商用衛星のうち、最も軽いというイスラエルの「EROS-B」も重さ350キロと言われている。

 実用衛星がこのように重いのは、打ち上げ費用を考慮し、商業的に利用可能な高価な装置・機器をできる限り多く搭載しているためだ。
 チョ団長は
 「衛星1キログラム当たりの打ち上げコストは2万5000-4万ドル(約204万-326万円)でなければ見合わない。
 採算が合わなければほかの商用衛星と一緒に打ち上げる方法がよく使われる」
と語った。

 「光明星3号」の発射費用は東倉里の試験場建設費用(4億ドル=約326億円)と衛星製作費(1億5000万ドル=約122億円)を除いても3億ドル(約244億円)に達すると関係当局は推定している。
 このため、1キログラム当たりの発射費用は300万ドル(約2億4000万円)という計算になる。

 北朝鮮が衛星の寿命を2年としたことも、「光明星3号」が実用衛星ではないことを裏付けている。
 韓国国策研究所の関係者は
 「寿命が2年だからといって実用衛星ではないと断定できるわけではないが、経済性を考えると5年以上使えるように設計するのが常識」
と語った。

 韓国の科学専門家の間では
 「こうした外観や諸元を考えると、『光明星3号』の機能は簡単な写真撮影と、『金日成(キム・イルソン)将軍の歌』を流すくらいだろう」
との見方が支配的だ。
 韓国政府関係者は
 「このような粗悪なおもちゃ並みの衛星を軌道に載せるのに、数億ドル(数千億円)という重さ92トンのロケットを発射する国は地球上のどこにもない。
 これは『光明星3号』発射の目的が衛星を軌道に載せることではなく、(長距離ミサイルに転用可能な)ロケットの性能試験だということを示すもの」
と述べた。




サーチナニュース 2012/04/09(月) 16:17
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0409&f=politics_0409_006.shtml

北朝鮮が衛星の発射台を公開、軌道投入後は「将軍の歌」を再生

  北朝鮮は8日、発射場にある発射総合指揮所と衛星「光明星3号」の発射台を外国メディアに公開した。
 中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  発射場の責任者によると、「光明星3号」の発射重量は91トン、「銀河3号」の直径は2.4メートル、高さは30メートル。
 「銀河3号」の組み立て作業はほぼ完了しているが、燃料はまだ注入されていない。
 北朝鮮は予定どおり、12日から16日の間に地球観測衛星「光明星3号」を打ち上げる計画だ。

  報道によれば、「光明星3号」は太陽軌道を回る衛星で、衛星は軌道に乗った後、「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」を自動で再生する。
 運搬ロケットには自爆装置が装着され、他国に影響を与えることはないという。

  また同責任者は、北朝鮮は1980年代から運搬ロケットを使った衛星打ち上げの研究に着手し、今回の「光明星」の打ち上げは金日成誕生100周年を記念するため、数年前から予定されていたと表明した。
 北朝鮮は今後も計画通り大型の運搬ロケットの研究・開発、衛星打ち上げを続ける方針だ。




サーチナニュース 2012/04/06(金) 17:03
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0406&f=politics_0406_019.shtml

衛星迎撃は「戦争行為」、軍と人民は絶対に許さない=北朝鮮

  北朝鮮の祖国平和統一委員会の報道官は5日、
 「平和的な衛星を迎撃するのは戦争行為であり、朝鮮人民軍と人民は絶対に許さない」
と宣言した。
 中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  朝鮮中央通信社は5日、同報道官の話として、
 「光明星3号は科学技術の発展を促す平和的な衛星であり、それに対する迎撃は『戦争行為』と見なし、壊滅な結果につながる」
と報じた。

  韓国国防部は3月26日、北朝鮮の衛星が事前発表された予定の軌道を外れ、韓国の領土に落下しそうな場合、追跡し迎撃することを明らかにした。
 日本の田中直紀防衛大臣も3月30日、北朝鮮の衛星が日本の上空通過あるいは領土に落下すれば迎撃するよう自衛隊に命じた。


 問題となるのは「日本の上空通過あるいは領土に落下すれば迎撃」だろう。
 Wikipediaによれば、領空とは「大気圏内」ということになる。

 国際法において、国家が領有している領土・領海の上に存在する大気の部分を領空(空域とも)とし、領海と共にその国の海岸線から12海里までのエリアを領空と定義している。
 1967年発行の通称「宇宙条約」では、宇宙の空間及び天体に対して、あらゆる国家の領有権を認めていないため、領空は大気圏までとなっている。
 領空侵犯とは、この領域を許可なく侵す行為であり、国際法違反の行為となる。
 ただし、領空の範囲は大気圏に限られるため、宇宙空間(衛星軌道など)を移動する人工衛星やスペースシャトルなどは領空侵犯に当たらない。




 「上空」と「領空」との違いについてはわからない。
 ミサイルは大気圏内を航行するので迎撃の対象になることには解釈上間違いないだろう。
 日本としては「許可無く領空侵犯」すれば撃ち落す、ということだろう。
 北朝鮮はミサイル打ち上げに成功するのか、日本にはミサイル迎撃に成功する技術力があるのか、見物である。
 おそらく人工衛星そのものは「将軍の歌」放送する程度のものであろうが、果たしてその歌を地上でキャッチできるだろうか。
 もしできれば、北朝鮮のロケット開発能力ならびに人工衛星投入能力はなかなかのものといっていいだろう。
 韓国との差は歴然ということになる。



NHKニュース 2012年(平成24年)4月10日[火曜日]
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120409/k10014323951000.html

専門家“ミサイル試験”と指摘
4月9日 19時24分

 北朝鮮が公開した、人工衛星としている事実上のミサイルについて、軍事専門家は、外見上は3年前に北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルの「テポドン2号」の改良型に極めて似ているとして、今回も長距離弾道ミサイルの発射試験と見るのが適当だと指摘しています。

 北朝鮮がメディアに公開した人工衛星としている事実上のミサイルについて、海上自衛隊の護衛艦隊司令官を務め、ミサイル防衛システムに詳しい金田秀昭元海将は
 「公開された映像を見ると北朝鮮が3年前に発射した長距離弾道ミサイルの『テポドン2号』の改良型と大きさや長さ、構造が極めて似ている。
 1段目のロケットには噴射口が4つあることから、すでに開発が完了している中距離弾道ミサイルの「ノドン」を4つ束ねたものとみられる。
 これまでの例を見ても結局は長距離弾道ミサイルの発射試験と見るのが適当だ」
と指摘しています。
 そのうえで、金田元海将は
 「アメリカなどは北朝鮮がハワイやグアムはおろかアメリカの本土まで届くミサイルの技術を持つのではないかと心配していて、今回もそうした技術開発を目指しているのではないか」
と述べ、今回の打ち上げが弾道ミサイルの飛距離を伸ばすための試験として行われる可能性があるという認識を示しました。
 また、人工衛星の本体とされるものについては、
 「高性能のカメラや姿勢を制御するための高度な装置を積んでいるようには見えず、とても実用には耐えられないのではないか。
 国際社会からの批判をかわすためのものだと考えられる」
と話しています。

■宇宙開発専門家“人工衛星なら不自然”

 また、北朝鮮が公開した映像を見た宇宙開発に詳しい専門家は
 「いったん取り付けたカバーを外して、改めて衛星を載せるというのは一般的な手順ではない」
として人工衛星の打ち上げとした場合、不自然な点もあると指摘しています。

 JAXA=宇宙航空研究開発機構で衛星開発の責任者などを務めてきた日本宇宙フォーラムの吉冨進さんに北朝鮮が公開した映像を分析してもらいました。
 まず、発射台に据え付けられた、北朝鮮が人工衛星としている事実上のミサイルについて、吉冨さんは
 「日本が1970年代に開発した3段式のN1ロケットと大きさや重量が似ており、外観上、ロケットの体裁は整っている」
としています。
 しかし、
 「人工衛星であれば、すでにロケットの先端に搭載されている時期で、いったん取り付けたカバーを外して改めて衛星を載せるというのはありえないわけではないが、一般的な手順ではない」
として、人工衛星の打ち上げとした場合、不自然な点もあると指摘しています。

 一方、実際に打ち上げる人工衛星だとする映像については、
 「太陽電池パネルや地上と通信するアンテナ、それに地球を撮影するカメラと思われる部分など、一とおりの人工衛星の機能は整っているように見える」
としました。
 しかし、北朝鮮が気象予報や資源探査に必要な資料を収集するためのカメラを備え付けているとしている点について、吉冨さんは
 「地球観測衛星であれば、地上の数メートルの物体を見分けられるほどの性能が必要だが、映像を見るかぎり、搭載するカメラは市販のデジタルカメラ程度とみられ、ぶれずに撮影するために必要な、衛星を安定して飛行させる高度な姿勢制御の技術が備わっているようにも見えない」
と指摘しています。
 日本が平成18年に打ち上げた地球観測衛星「だいち」の場合、大きさが6メートル、重さも4トンありましたが、今回公開された北朝鮮の衛星は、大きさは1メートルほどで、重さは100キロとされ、吉冨さんは
 「大学の研究室で開発している小型衛星と同じぐらいのレベルだ」
としています。








サーチナニュース 2012/04/10(火) 14:24
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0410&f=politics_0410_011.shtml

北朝鮮の衛星打ち上げは成功するか?

  北朝鮮が公表した情報によると、北朝鮮は「銀河3号」ロケットで地球観測衛星「光明星3号」を打ち上げる予定という。
 衛星の重さは約100キロ、高度500キロの軌道を運行し、寿命は2年とされている。
 衛星はカメラを搭載し、衛星管制総合指揮所に写真などの観測資料が送られる予定だ。
 中国網日本語版(チャイナネット)は9日付で、
 「北朝鮮の衛星打ち上げは成功するか?」
と報じた。
 以下は同記事より。

  「光明星3号」は北朝鮮の山林資源の分布状況、自然災害の情況、食糧の生産見積りの測定のほか、天気予報や資源調査などに必要な資料の収集に用いられるという。
 同衛星は応用型の実用衛星だが、北朝鮮はこれまでに2度しか衛星を打ち上げておらず、成功したかどうかもまだ議論されている状況だ。
 今回、実用型衛星の打ち上げに成功したとしても、そのレベルはまだ「初級」レベルだ。
 しかも衛星の重量はわずか100キロで、宇宙能力は先進的な宇宙開発国の初期段階のレベルに過ぎないと考えられる。

  衛星本体の機能のほかに今回の打ち上げは、前回の打ち上げと次の3点で明らかに異なる。

(1):打ち上げの方向を東向きから南向きに改め、黄海上空で軌道に入る。
 そうする目的は当然ロケットの日本上空通過によるマイナス影響を減らすためで、「銀河3号」の運搬能力がさらに高まったことを示している。
 南向きの打ち上げは東向きに比べ、より多くの燃料がかかり、ロケットの射程や運搬により高い能力が求められる。

(2):今回の打ち上げ地点は前2回の衛星打ち上げと大きく異なる。
 前2回はいずれも舞水端里基地からの打ち上げだったが、今回は平安北道鉄山郡東倉里基地、つまり「西海衛星発射場」が選ばれた。
 この基地は2000年に着工し、かつて大陸間ミサイルエンジンの点火実験を行ったことがある。
 発射塔の高さは50メートル、一方舞水端里基地は30メートルしかない。
 また、西海衛星発射場には支持台、エンジン燃焼試験棟、地上管制所などからなる完備された施設がある。
 規模も舞水端里基地の約3倍で、施設もより近代的だ。
 特にミサイル発射準備の核心段階ともいえる液体燃料の注入過程はすべて地下で自動完了し、米国の偵察衛星の監視を回避できる。
 発射施設の自動化が進められ、ロケットの発射準備時間が短縮された。

(3):北朝鮮はこれまでのやり方を改め、国際規定や手順に照らし、事前に国際民間航空機関(ICAO)、国際海事機関(IMO)、国際電気通信連合(ITU)などの機関にロケット打ち上げ地点や大まかな軌道を報告した。
 打ち上げ情況も全面公開し、外国人専門家や記者を衛星打ち上げの見学に招待した。
 外国人専門家や記者は西海衛星発射場で、発射塔に設置された「銀河3号」ロケットや人工衛星「光明星3号」を見学したり、発射総合指揮所でロケットと衛星の打ち上げ情況の実況に立ち会うほか、平壌衛星管制総合指揮所の見学や指定場所での「光明星3号」の打ち上げ実況にも立ち会える。
 これは前2回にはなかったことで、北朝鮮が自らの衛星打ち上げ技術にかなり自信があることをうかがわせる。

■北朝鮮、国策としての宇宙開発に全力投球

  北朝鮮は小国だが、独立以来、独自の国策を固持し続けることで海外からの内政への影響を排除してきた。
 なかでも、弾道ミサイルや衛星の研究は早い時期から行われている。
 しかし、限りある国力や技術基盤の弱さから、その発展速度は遅く、もとは北朝鮮から弾道ミサイル技術を学んだはずのイランのほうが、北朝鮮よりも先に衛星発射を成功させるという局面にまでなっている。

  1960年代、北朝鮮は前後して旧ソ連のSAM-2地対空ミサイル、V-1、V-2弾道ミサイル、FROG(無誘導地対地ロケット)技術、さらに1台でミサイルの運送、セット、発射を完了できる専用車などの関連装備、その基本的設計や液体ロケットエンジン、液体推進剤の関連技術を手に入れた。

  1968年、米海軍情報収集艦プエブロ(Pueblo)が北朝鮮によってだ捕され、朝鮮半島に緊張が走った。
 最終的には米国が北朝鮮領海への侵入を認め、北朝鮮側も米国乗員を解放した。
 これにより、北朝鮮の弾道ミサイル研究への決意は確固たるものとなり、70年代には弾道ミサイルの発展が北朝鮮の基本的国策となった。

  また、弾道ミサイル技術と打ち上げロケットの技術に明確な境界線はなく、唯一異なるのは、搭載するのがミサイルのような武器か、それとも衛星かという点である。

 1979年、北朝鮮はエジプトと共同で弾道ミサイルの研究開発を行う協定を結び、そこからスカッド(SCUD)Bミサイルを入手、弾道ミサイル発展の道を切り開いた。

  北朝鮮のミサイル工業は、国防科学技術工業のなかでも重要な位置を占めており、すでに大きな研究開発と生産規模を形成している。
 宇宙事業も弾道ミサイルの基礎のうえで一定の発展を遂げた。

  現在、北朝鮮には第二自然科学学院と第二研究センターの二大研究機関が存在する。
 そのうちの第二自然科学学院は、国防科学院とも呼ばれ、平壌市万景台区に位置している。
 ここに勤務する科学者は、その多くがロシアやヨーロッパの高等学府における研修経験を持っている。
 世界安全機構の資料によれば、北朝鮮は宇宙科学研究員達を厚遇し、毎日1.2キロの米と豚肉が支給されているのだという。
 これは、北朝鮮においてはかなり手厚い物質保障といえる。

  北朝鮮の衛星開発が単なる「ひとりよがり」式の単独開発でないことは外界でも知られている。
 北朝鮮は、酸化剤やロケット用燃料、ケーブル、集積回路、ミサイル用の特殊鋼を製造することができる。
 しかし、制御システムに使用する先進的な電子部品やその他ハイレベルのハードウエアはやはり外界からの提供に依存している。
 技術面ではロシアのミサイル技術を借用、またイランとは「相互補完」状態だ。

  イランは宇宙開発及び衛星技術の面で北朝鮮をはるかに超えているが、打ち上げロケット、またはミサイルの開発においては北朝鮮の方が上だ。
 これこそ、北朝鮮とイランのミサイル技術と衛星技術が「同時進行」している秘密の鍵なのである。
 イランの「シャハブ1」弾道ミサイルは北朝鮮から輸入した「スカッド」ミサイルであり、「シャハブ3」は「ノドン」ミサイルをベースに独自の改良を加えたものである。

  このほか、イランは北朝鮮のミサイル開発に資金援助まで行っている。
 シリア、リビア、アラブ首長国連邦等のアラブ諸国及びスーダン、ミャンマーなども、北朝鮮から大量の「スカッドB」「スカッドC」などのミサイルシステムを購入している。
 また、北朝鮮はすでにGPS妨害装置の開発に成功し、イランやシリアなどの中東諸国への輸出を計画している。
 これにより、資金の獲得はもちろん、これらの国との関連技術における交流と連携を強化する構えだ。




レコードチャイナ 配信日時:2012年4月10日 15時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=60304&type=0



北朝鮮の弾道ミサイル、専門家「中国か韓国に墜落する可能性も」―シンガポール紙

 2012年4月10日、北朝鮮が金日成主席生誕100周年の祝賀を名目として今週中にも打ち上げを予定している長距離弾道ミサイルについて、専門家は「万が一でもシステムに不備が出れば、中国北部か韓国に墜落する可能性がある」と指摘した。
 シンガポール華字紙・聯合早報の報道。

 8日、同国西部の東倉里(トンチャンリ)にある発射場に設置されたミサイルは外国メディアにも公開された。
 実際に取材した米AP通信の記者によると、外国メディア一行は列車で発射場へ案内され、ロケットに搭載される衛星・光明星3号と発射基地内を参観した。
 基地の責任者によると、同国の舞水端里(ムスダンリ)にあるもう一つの発射基地からも衛星を打ち上げる計画があるという。

 今回の打ち上げに関しては、金日成主席生誕100周年にあたる今月15日より前に行われると考えられ、天候にも左右されるが、14日打ち上げが最も濃厚だと韓国メディアは報じている。

 ミサイルの射程距離は約6700kmと考えられている。
 一方、米国の領土で北朝鮮に最も近いアラスカ州は、北朝鮮から5000kmの距離に位置する。
 つまり、打ち上げに成功すれば米国すら射程圏内に入ることになる。
 しかし、一部の専門家は
 「このミサイルは、ナビゲーションシステムが最大の弱点。
 万が一でもシステムに不備が出れば、中国北部か韓国の、しかも人口が密集した地区に墜落する可能性もある」
としている。

 なお、今回の打ち上げ地点を西部の東倉里としたのは、
 日本に破片が散るリスクを低減するため
と言われている。




NICHIGO PRESS 2012年4月10日
http://nichigopress.jp/ausnews/world/37096/

各国航空会社、フィリピン付近上空の航路を変更
北朝鮮の人工衛星ロケット実験軌道を避けて


 4月10日付のフィリピン民間航空局発表によると、北朝鮮が今週末から来週初めにかけての期間中に人工衛星ロケットを発射すると予想されており、各国の航空会社がこの期間中、フィリピン上空の航路を変更することを計画している。

 オーストラリアと日本の間の直行路線には影響はないが、アジア経由の路線では一部影響が出ることも予想される。
 北朝鮮は、衛星打ち上げのロケット発射を天候によるとして、4月12日から16日までの間と指定しており、この期間の飛行航路を変更するのは、フィリピン・エアラインズ、セブ・パシフィック、ANA、JAL、大韓航空、ガルーダ・インドネシア、デルタ・エアラインズなど20社。
 フィリピン民間航空局スポークスウーマンのフロラメル・ジョイ・ソンソン氏は、
 「航空局は、北東の航空回廊3本をこの期間閉鎖する。航空会社にとっては約20分間の飛行時間延長になる」
と発表している。
 日本のJALとANAは、東京とマニラ、ジャカルタ、シンガポールを結ぶ各路線の航路を変更する。
 JALは、ロケット打ち上げ予定期間中、日に4便を運航している。日本航空運航本部の東峰典生グループ長は、
 「航空機は、毎回、不測の航路変更に備えて余分の燃料を積んで離陸する」
と語っている。
 また、ANAも5便で同じような措置を実施する。

 フィリピン当局は、使用済みの打ち上げ第二段ロケットが落下すると予想される北東部領海を航行する船舶や漁船にも、この海域を避けるよう通告した。
 北朝鮮当局は、
 「この人工衛星は、農作物の収穫状況や天然資源観測が目的であり、長距離ミサイル技術の実験という憶測は間違い」
としている。
 また、ロケット打ち上げ基地から真南への軌道を選んだのは、使用済みロケットが周辺国領土に落下することを防ぐためだ。第一段ロケットは韓国南西部の黄海に落下する予定であり、第二段ロケットは、フィリピン北部のルソン島の東140kmの海域に落下するはずだ」としている。
 しかし、ロケットの破片が広い範囲に落ちてくるのではないかという懸念が広がっている。
 田中直紀防衛大臣は、自衛隊のミサイル迎撃部隊に対して、ロケットまたはロケットの破片が日本国内に落下するようなら、ロケットを迎撃するよう指令した。
 また、韓国当局も、北朝鮮のロケットの一部でも韓国領土に向かってくるような迎撃する用意があると警告している。(NP)





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